p進整数の可視化による逆極限とp進展開の橋渡し
本稿でも引き続きp進整数について述べる。前回の記事で逆極限によるp進整数の定義を述べた。本稿ではまずこれを視覚的に捉え、次いでp進展開との関係について述べる。
p進整数の可視化
p進整数について、を例に考えてみよう。ある5進数rについて、だから、は0, 1, 2, 3, 4の何れかである。ここでは仮にだったとしよう。の定義より、となるが、は自然な全射であるから、これはを5で割った余りがに等しいことを意味する。また、の定義より、となるが、も自然な全射なので、やはりを5で割った余りがになることを意味する。これを繰り返すと、全てのを5で割った余りはに等しくなる。
次に、について考えてみる。であり、かつ上の議論によりを5で割った余りは0だから、は0, 5, 10, 15, 20の何れかである。ここでは仮にだったとしよう。の定義より、となるが、は自然な全射であるから、これはを25で割った余りがに等しいことを意味する。また、の定義より、となるが、も自然な全射なので、やはりを25で割った余りがになることを意味する。これを繰り返すと、全てのを25で割った余りはに等しくなる。
ダメ押しでについても考えてみよう。であり、かつ上の議論によりを5で割った余りは0、25で割った余りは5だから、は5, 30, 55, 80, 105の何れかである。ここでは仮にだったとしよう。すると、これまでの議論と同様に、全てのを125で割った余りはに等しくなる。
これを一般化すると、あるについて、全てのをで割った余りはに等しくなるということが言える。
これまで述べてきたことを可視化してみると、ある5進数rは以下のように表すことができるだろう。
ただし、図の描きやすさの都合上、選択されたオレンジ色の数字を大き目に描いている。この図を見ると、rがまさに何処かに収束していく様子が見て取れるだろう。この収束の様子こそが、まさに逆極限が表していることであり、p進数rそのものなのである。
逆極限から分かるp進整数のp進展開
さて、図をさらによく見ると、あるオレンジ色の箱の中身は、次のステップでは必ず5個の小さな箱に分割されていることが分かる。そこで、オレンジ色に塗られた箱は、それぞれ前のステップでの箱の中で何番目に位置するものであるかを考えてみる。
まず、について、これは(0始まりでカウントすると)0番目の箱である。は、という箱に属するものの中で1番目の箱であることが分かる。さらに、は、という箱の中で3番目に位置していることが見て取れる。
このように、各が前のステップでのオレンジの箱の中で何番目に位置しているかというのを順に調べていくと、各における箱の番号をn桁目の数字とすることで、rを以下のように一意に表すことができる。
これをrのp進展開と呼ぶ。一般に、p進展開は以下のように表すことができる。
一般のp進整数のp進展開では桁数は無限に大きくなり得るわけだが、中にはあるについてとなるような数も存在する。そのようなものは実は通常の整数となっている。また、その場合、ここで示したp進展開は、10進整数を通常の意味でp進数表示した場合と全く同じものになる。このことからも、であることが理解できる。
まとめ
以上、p進整数の具体例について可視化を行うことで、それがどのようにp進展開と結びついていくのかを見た。本稿の説明だけではのp進展開までは説明できていないが、逆極限との関連を視覚的に捉えることを優先し、敢えて省いた。についても分からないことが山ほどあるので、それらについても近いうちに勉強し、明らかになったところで記事にしたいと思う。
参考
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