2019-01-01から1年間の記事一覧

情報幾何学を嗜む ~ダイバージェンスの不変性~

前回までの記事で確率分布のパラメータが成す空間の双対平坦性や、重要な確率分布族である指数型分布族について説明してきた。本稿では確率分布のパラメータが成す空間の幾何学的な構造について不変性というキーワードからアプローチし、KLダイバージェンス…

情報幾何学を嗜む ~指数型分布族の幾何学~

前回の記事では双対平坦空間について説明した。これまでの記事では具体的な確率分布族は登場せず、ひたすら抽象的な議論が続いたが、いよいよ具体的な確率分布族について考えてみる。本稿では情報幾何学的に重要である指数型分布族に着目し、その幾何学的な…

情報幾何学を嗜む ~微分幾何学的な双対平坦空間の導入~

前回の記事ではBregmanダイバージェンスから導かれる双対空間について述べた。本稿ではこれらの空間に定められる双対接続、及びそこから導かれる双対平坦空間について考えてみる。基本的には本[1]を参考にしているのだが、この本はどうも双対平坦な空間の導…

情報幾何学を嗜む ~Bregmanダイバージェンスとその双対~

最近、情報幾何学の勉強をしている。情報幾何学は日本の甘利先生という方が切り開いてきた分野で、主には確率分布のパラメータが成す空間をリーマン多様体と捉えることで、確率分布族に対して幾何学的な解釈を与えるものである。情報幾何学は情報科学の一分…

クーポンコレクター問題の確率分布を解き明かす

クーポンコレクター問題というものをご存知だろうか?これは、例えば6種類のおもちゃが出るガシャポン*1があったとして、何回くらい引けば全種類引き当てる事ができるか?というようなことを考える問題である。この問題に対して、平均や分散がどうなるかとい…

いくつかのLie群がLie群であることを定義に戻って確かめる

Lie 群は難しい。この理由の1つは、議論の前提となる領域が広いことにあると思われる。Lie群とは群であり多様体であるような数学的対象である。そのため、定義を理解するだけで群論と多様体の知識が求められる。また、Lie群の教科書で最初に扱われるような基…

今こそJordan標準形と向き合う

線形代数を勉強して、Jordan標準形という言葉を耳にしたことがない人はいないだろう。Jordan標準形とは、ざっくり言えば行列の対角化を一般化したようなものである。行列の対角化はいつでもできるとは限らず、報われない行列たちが存在する。一方、Jordan標…