これまで圏論にまつわる記事をいくつか書いてきた。本稿ではその続きとしてlimit, colimitについて説明する。
limit
圏論におけるlimitとは何かについて説明したいのだが、limitの定義を理解するためにはdiagramとconeについて理解しておく必要がある。まずはdiagramの定義を本[1]から引用したものを以下に示す。
Diagramと言われると何か図形っぽいものを想像するかもしれないが、定義にある通りその正体は関手であるという点は注意しておきたい。
続いてconeの定義も本[1]から引用する。
A cone on

coneというのはその名の通り三角コーンみたいなものをイメージすればよいだろう。すなわち、頂点が1つあって、地面()に適当な図形(三角コーンなら円形、一般のconeなら
)があり、頂点からその図形に向かって線(
)が伸びているようなイメージである。
では、limitの定義を本[1]から引用する。
つまりlimitとはconeの一種なのだが、その中でも他のコーンの頂点から自身の頂点に対して一意な射が存在し、かつその射がいい感じの性質(universal property)を持っているような特別なconeのことである。
colimit
limitと対になるようなものとしてcolimitという概念がある。colimitについて理解するためにはlimitと似たように事前準備が必要である。ということで、まずはcoconeの定義を本[1]から引用する。

coconeの直観的な理解もconeと同じく三角コーンみたいなものをイメージすればよいが、coneとは射の向きが逆になっている。
続いてcolimitの定義を本[1]から引用する。
coneとcoconeの関係
coneとcoconeの定義をざっと眺めただけでも両者が対になっていそうな雰囲気が分かるかもしれないが、両者の間の関係をもう少し深掘りしてみよう。例として以下のような状況を考える。

図ではうまく表現できなかったが、である。
この圏において、diagram によって
が
に写され、
の中に
の形をした図形が描かれている。Diagramはただの関手なので必ずしも
が
の中に綺麗に埋め込まれるわけではないが、diagramという名前はこのように圏の中に図形を浮かび上がらせるような直観的イメージから名付けられたんじゃないかと私は勝手に思っている。
上記のようなdiagramに対して2つの頂点から射が伸びている。これがそれぞれ
を頂点とするconeを形成している(ただし、coneの定義を満たすために必要な
などの条件は適宜成り立っているものとする)。この例に登場するconeはこの2つだけであり、かつ
という射がただ一つ存在している。このとき
というuniversal propertyが満たされているとすればcone
はlimitである。
この状況で、の代わりに
、
の代わりに
を考えてみよう。
という関手はもはや
とは異なるので、これを
と名付けることにする。
すると、先ほどの図は以下のように変化する。

図ではうまく表現できなかったが、である。
今度はを頂点とする2つのcoconeが現れた。さらに、
という射がただ一つ存在している。このとき
というuniversal propertyが満たされているとすればcocone
はcolimitである。
このように、関手に対して
という関手を考えると、
上のconeは
上のcoconeであり、
のlimitは
のcolimitとなる。
ところで、ここで取り上げたlimitとcolimitの例はそれぞれpullbackおよびpushoutと呼ばれるものになっている。limit, colimitはいろいろなを考えることで他にも様々な概念を抽象的に扱うことができる。興味のある方は本[1]などを参照して欲しい。
まとめ
本稿では圏論におけるlimitとcolimitについて説明した。特に両者の双対的な関係性について例を用いて説明した。
これまでの圏論に関するブログ記事は基本的に本[1]の流れに沿って書いてきた。本[1]では圏の基本について説明したあと、随伴、表現可能関手、limitとcolimitについて取り上げ、最後にそれらの間の関係性について説明するような流れに見える。というわけで、私の圏論の勉強もいよいよ最終フェイズに入ってきた。数学書の最後の方はいつも内容が難しくて振り落とされがちなのだが、今回はそうならないように頑張りたい。





